深夜酒類提供飲食店での遊興行為とは
遊興とはどんな意味なのでしょうか?
実は風営法上の遊興の解釈は接待行為と同じく難しいです。
なぜなら、遊興とみなされる解釈基準は、状況によって分かれるからです。
カラオケを例にしてみましょう。
カラオケは一人で歌うことを前提にします。
(お店の女の子とデュエットするのは接待にあたります)
自分で曲をいれて、自分で歌う分には遊興行為・接待行為ともに当てはまりません。
しかし、お店の人が、「この曲歌ってください」と特定の客に歌うことを推奨したり、
お店の人が特定の客のために曲をいれたりすると、接待行為になります。
また、お店の人が「皆でカラオケ大会しましょう」みたいに不特定多数(大勢)の客に声をかけたり、
場を盛り上げるような行為をしたら遊興行為にあたります。
一般の人からみれば、「だから何?」的な解釈基準です。
上記のようなことなんて、カラオケがある飲食店なら日常茶飯事です。
だれも「やべー、いま遊興行為やちゃった」とは思わないわけです。
現実問題として、歌うまでの過程を「一体誰が気にしてんだ」ということになるので、上記の例のような「接待行為」や「遊興行為」をしても、取締りの対象になるのは難しいといえます。
しかし、デュエットなどの行為は「デュエット」そのものが接待行為に該当するので言い逃れはできません。
接待行為に関してはこちらを参考にして下さい。
ここでは、遊興とみなされる行為を例示します。
深夜酒類提供飲食店での遊興行為は、深夜0時以降にさせてはならないとされています。
- 不特定多数の客にショー、ダンス、演芸などを見せる行為
- 不特定多数の客に歌手が歌を歌う、バンドの生演奏等を聴かせる行為
- 客にダンスをさせる場所を設けるとともに、音楽や照明の演出等を行い、不特定の客にダンスをさせる行為
- のど自慢大会等の遊戯、ゲーム、競技等に不特定の客を参加させる行為
- カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客に歌うことを勧奨し、不特定の客の歌に合わせて照明の演出、合いの手等を行い、又は不特定の客の歌を褒めはやす行為
- バー等でスポーツ等の映像を不特定の客に見せるとともに、客に呼び掛けて応援等に参加させる行為
などです。
1 不特定多数の客にショー、ダンス、演芸などを見せる行為
風営法の接待行為の判断基準のなかで、「特定少数の客に対して、専らその客の用に供している客室又は客室内の区画された場所において、歌舞音曲、ショー、歌舞音曲等を見せ、又は聴かせる行為は接待に当たる。」と書かれているので、不特定多数の場合は遊興行為に該当するとされています。
2 不特定多数の客に歌手が歌を歌う、バンドの生演奏等を聴かせる行為
これも風営法の接待行為の判断基準のなかで、「特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、若しくはその客の歌に手拍子をと」と書かれているので、不特定多数の場合は遊興行為に該当するとされています。
ギターやドラムなどを使って音楽を聴かせる場合は深夜0時までの営業になります。
深夜0時以降は音楽を聴かせてはいけません。
これは結構解釈がはっきりしているかもしれません。
生バンドを聴かせてくれる有名なチェーン店などは、だいたい深夜0時までの営業になっています。
3 客にダンスをさせる場所を設けるとともに、音楽や照明の演出等を行い、不特定の客にダンスをさせる行為
これはクラブなどの営業形態のことを指します。詳しくは後術します。
4、5 イベントや催し物を企画すること
カラオケのところでも書きましたが、店側が「皆でカラオケ大会しましょう」などと、不特定多数のお客を盛り上げようとする行為などが該当します。
6 バー等でスポーツ等の映像を不特定の客に見せるとともに、客に呼び掛けて応援等に参加させる行為
バー等でスポーツ等の映像を単に不特定の客に見せる行為は遊興行為に当たらないとされています。あくまで4や5のように客に呼び掛ける行為が規定されています。
クラブなどで踊るなどの遊興行為
風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)が改正されます。この一部を改正する法律の施行時期は平成28年の6月23日に施行されることになりました。
今まではクラブなどでダンスをする場合は風俗営業許可が必要でした。
そして風俗営業許可は原則深夜0時までしか営業できないので、朝まで営業したくても出来なかった営業者の方も多いかもしれません。
ところが今回の改正で特定遊興飲食店営業の制度が新設されました。
特定遊興飲食店営業は条件さえ満たせば深夜0時以降も営業ができるといった内容になります。
詳しくは風営法の改正とはをご覧ください。