保健所営業許可とは

飲食店の営業には保健所の営業許可が必要

それでは保健所営業許可とはどういう時に必要になるのでしょうか?

保健所営業許可とはあなたが飲食店をはじめるときに必要な許可になります。

当然ですが飲食店は誰でも好き勝手に始めていいわけではありません。

そもそも許可という概念は禁止されている行為について、特定の場合にその禁止を解除するという法律効果をいいます。つまり、国が定めた要件をクリアした人しか許可は与えられないということです。

飲食店をはじめるにあたっては保健所以外にもいくつか許可や届出をする場合があるのですが、まず最初にとるべき許可は保健所営業許可になります。このページでは保健所営業許可についてまとめておりますので是非参考にしてください。

保健所営業許可の種類

法改正

保健所の営業許可は令和3年6月1日に大きく法律が改正されました。
このページでは令和3年6月1日以降の基準を記載しております。

まず、保健所の営業許可は大きく分けると許可業種と届出業種に分かれます。
許可業種は全部で32業種あり、この中の1つが飲食店営業といって皆様の多くが取る許可になります。

食品衛生法の許可業種
1 飲食店営業 12 アイスクリーム類製造業 23 納豆製造業
2 調理の機能を有する自動販売機により食品を調理し、調理された食品を販売する営業 13 乳製品製造業 24 麺類製造業
3 食肉販売業(未包装品の取扱い) 14 清涼飲料水製造業 25 そうざい製造業
4 魚介類販売業(未包装品の取扱い) 15 食肉製品製造業 26 複合型そうざい製造業
5 魚介類競り売り営業 16 水産製品製造業 27 冷凍食品製造業
6 集乳業 17 氷雪製造業 28 複合型冷凍食品製造業
7 乳処理業 18 液卵製造業 29 漬物製造業
8 特別牛乳搾取処理業 19 食用油脂製造業 30 密封包装食品製造業
9 食肉処理業 20 みそ又はしょうゆ製造業 31 食品の小分け業
10 食品の放射線照射業 21 酒類製造業 32 添加物製造業
11 菓子製造業 22 豆腐製造業

次に届出業種とは許可業種又は届出が不要な業種以外のものが対象になります。

因みに許可と届出はどちらがハードルが高いかというと許可になります。
許可とは申請をして保健所が審査をし、それに合格しないと許可になりません。
一方で届出は基本的に書類を提出するだけで審査という概念がありません。

それではどういう時に届出が必要かというと、許可まではいらないが全く規制しないのはマズいよね、という時です。

例えば、許可業種の1つに食肉販売業(未包装品の取扱い)というものがあります。
一方で届出業種の1つにも食肉販売業(包装品のみの取り扱い)というものがあります。
まず、食肉販売業とは名前のとおり肉を販売するための許可や届出になります。そして、あくまで目安ですが、この食肉販売業は包装をするかどうかで許可なのか届出なのかに分かれます。

ここでイメージして頂きたいのですが、未包装品の場合は肉に直接触れることがあるということです。直接触れるのであれば、手を洗わなければいけないとか清潔な場所が必要だとか想像できると思います。よって許可が必要になります。
一方で包装品のみの取り扱いは肉に直接触れることは原則ないので、
「許可までは必要ないよね、ただし、保管方法や賞味期限など一定のことは遵守してもらわないと困るから届出はしてね、」といったイメージになります。

飲食店営業許可とは

居酒屋やBarなどの飲食店は飲食店営業許可

それでは次に飲食店営業許可について解説いたします。
飲食店営業許可とは保健所の許可の中でも最もメジャーな許可になります。居酒屋、BAR、そば屋、ラーメン屋、中華料理屋など、食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業が該当しますので、ほとんどの飲食店が該当します。
先ほど許可業種は全部で32業種あると記載しましたが、飲食店の場合は飲食店営業許可を取っていると考えていいでしょう。また、これらの許可は複数取得することも可能ですので、飲食店営業許可+他の許可の組み合わせでも問題ありません。

飲食店営業許可+届出が必要な業種
ふぐとかきの写真

法改正前は届出が必要だった業種

法改正前は、ふぐや生食用かきを取扱う場合は許可とは別に届出(ふぐを取扱う場合は「ふぐ認証申請書」や「ふぐ加工製品取扱届及び届出時確認書」、生食用かきを取扱う場合は「生食用かき取扱い届書」)が必要でした。
法改正後は東京都独自の条例(食品製造業等取締条例)による許可・届出制度は廃止されておりますが、別の方法で規定されております。
詳しくは下記を参照してください。

最新の情報

ふぐの取り扱いに関しては令和4年4月1日から、届出が不要になりました。詳細はこちらをご覧ください。
生食用かきの取扱いに関しては令和3年6月1日から届出が不要になりました。詳細はこちらをご覧ください。

飲食店営業許可+他の許可が必要な業種
パン、アイスクリーム、肉、魚の写真

他の許可が必要な業種

次に飲食店営業許可だけでは調理はできても製造が出来ないケースがあります。

調理と製造の区別が難しいですが、例えば、スーパーでハムやソーセージを買ってきてお店で炒めたり、パンにはさむだけなら調理といえそうですが、ハムやソーセージそのものを作りたいとなれば製造に該当する可能性があります。

そのような場合は飲食店営業許可だけではなく、食肉製品製造業許可が必要になる場合があります。
ただし、これらの話はどの段階から作るかなど、それぞれの調理工程など個別的に判断されますので、詳しくは保健所までご確認ください。

同様にパンを生地から製造するためには、「菓子製造業」、アイスクリームを原材料から製造するには「アイスクリーム類製造業」などの許可が必要になる場合があります。

これらの許可は飲食店営業許可の許可要件よりも少しだけ厳しいことがほとんどです。
そのため通常の飲食店のレイアウトでは要件がクリアできない場合も考えられるので、物件を契約する前に保健所まで事前相談することをおすすめいたします。

申請から許可がおりるまでの流れ

それでは飲食店営業許可を取るためにはどうすればいいのでしょうか

飲食店を営業するまでの流れ

  1. 保健所に事前相談に行く
  2. 営業許可申請書や図面を作成する
  3. 保健所に飲食店営業許可を申請する
  4. 保健所の検査に立ち会う
  5. 検査に合格したら営業開始(保健所から指示あり)
  6. 営業許可書を保健所まで取りにいく

1 保健所に事前相談に行く

飲食店の所在地を管轄している保健所に相談にいきます。都内ですと区に1つあり、その他の市などには複数の市を一つの保健所が管轄している場合があります。

保健所の場所

事前相談は誰でもできます。予約も必要ないところがほとんどです。初めて手続きをする方は必ず事前相談に行くことをお勧めいたします。

また保健所の要件は保健所ごとに異なります。もっといえば担当者の裁量が強く担当者によっても結果が異なることもあります。そのため前回の検査は通ったからといって今回も同じ条件で通るとは限りません。特に都道府県が変わる場合は要件や手続きの方法が異なる部分も多いと思います。そのため新しい場所で飲食店をはじめる場合は事前相談にいくように心がけましょう。

2 営業許可申請書や図面を作成する

申請に必要な営業許可申請書や図面を作成します。申請書は書き方をまとめておりますので以下を参考にしてください。

営業許可申請書の書き方/記入方法

次に図面を作成します。図面にはシンクや手洗い器の場所や数などを書きます。保健所によっては電球の数やワット数、寸法なども記入します。正確な図面が望ましいですがあまり細かいと大変なので難しい場合は行政書士に依頼しましょう。

3 保健所営業許可を申請する

申請書に必要書類を添えて申請します。この際に申請手数料を支払います。また保健所の検査日を決めることもありますのでスケ―ジュールも確認しておきましょう。

必要書類

4 お店での施設検査に立ち会う

保健所の検査に立ち会います。この時までに施設基準をしっかりクリアしときましょう。

保健所の施設基準とは

5 検査に合格したら営業開始(保健所から指示あり)

検査に合格したらその場で営業許可書の引換書をもらいます。そして都内の場合ですとだいたい次の日から営業開始してもいいといわれます。

後日、引換書を持参して営業許可書を取りに行きます。営業許可書発行までは検査から約1週間くらいかかります。

6 営業許可書を保健所まで取りにいく

保健所によっては郵送で対応してくれるところもあります。基本的には引換書と印鑑を持参して保健所まで取りにいきます。

それでは次に許可に必要な施設基準についてみてみましょう。

保健所の施設基準とは

保健所の営業許可申請を代行します