保健所営業許可とは
それでは保健所営業許可とはどういう時に必要になるのでしょうか?
保健所営業許可とはあなたが飲食店をはじめるときに必要になる基本的な許可になります。
当然ですが飲食店は誰でも好き勝手に始めることはできないようになっています。
許可という概念は禁止されている行為について、特定の場合にその禁止を解除するという法律効果をいいます。つまり、国が定めた要件をクリアした人や場所などにのみ与えられるものになります。
飲食店をはじめるにあたってはいくつか許可や届出をしないといけないのですが、まず最初にとるべき許可は保健所営業許可になります。このページでは保健所営業許可についてまとめておりますので是非参考にしてください。
保健所営業許可の種類
保健所営業許可は一つではなく実はたくさんの種類があります。これは店舗の営業形態や提供する飲食物によって異なります。この辺の種類については後述しますので、まずは通常の飲食店が必ず取るものとして「飲食店営業許可」というものがあることを知って頂ければと思います。
「飲食店=飲食店営業許可」
また、飲食店営業許可とは別に喫茶店営業許可というものがあります。この喫茶店営業許可は喫茶店を始める方が取る許可だと勘違いされている方がいらっしゃいますが、喫茶店でも通常は飲食店営業許可を取ります。喫茶店営業許可とは飲食店営業許可の許可要件を緩和したものになるので飲食店営業許可がとれない飲食店が取ったりするものになります。喫茶店営業許可は許可要件が少ないぶん営業できる範囲は限られます。そのため営業できる範囲より許可要件が少ないほうがメリットがある方には飲食店営業許可よりも喫茶店営業許可のほうが適している場合があります。
届出が必要な業種
飲食店営業許可を取れば通常はそれだけで営業ができます。ただし、特別な食材を使用する場合は別途届出が必要になることもあります。
例えばふぐを取扱う場合は「ふぐ認証申請書」や「ふぐ加工製品取扱届及び届出時確認書」が必要になります。生食用かきを取扱う場合は「生食用かき取扱い届書」を提出する必要があります。
同様に生肉にも注意が必要です。
当事務所でも保健所の審査に立ち会うことがありますが、保健所の方に「生肉は出しますか」とよく聞かれます。
2011年のユッケの集団食中毒事件の影響で保健所は生肉に関しては大変シビアになっております。2019年現在で法律上禁止になっているのは豚や牛の生肉ですがその他の生肉に関しても保健所は扱わないように指示をしています。
生肉に関しては法律や各都道府県の条例で規制されておりますのでご確認ください。
他の許可が必要な業種
次に飲食店営業許可だけでは販売は出来ても製造が出来ないケースがあります。
例えば製造されたパンを販売するだけなら飲食店営業許可だけでできますが、パンを生地から製造するためには、「菓子製造業」の許可が必要になる場合があります。
同様に製造されたあんこやアイスクリームを販売することはできますが、小豆や牛乳の原料からあんこやアイスクリームを製造するためには、「あん類製造業」や「アイスクリーム類製造業」の許可が必要になる場合があります。
これらの許可の場合は飲食店営業許可の許可要件よりも厳しいことがほとんどです。そのためこれらの許可を取得するのが前提であれば調理場のレイアウトも事前に調整する必要がでてきます。
さらに、肉屋や魚屋みたいに食材をそのまま販売することもできません。
肉屋には「食肉販売業」、魚屋には「魚介類販売業」の許可が必要になります。
まとめると飲食店営業許可だけで飲食店は営業できますが別途届出や他の許可が必要な場合があるということになります。
申請から許可がおりるまでの流れ
それでは飲食店営業許可を取るためにはどうすればいいのでしょうか
飲食店を営業するまでの流れ
- 保健所に事前相談に行く
- 営業許可申請書や図面を作成する
- 保健所に飲食店営業許可を申請する
- 保健所の検査に立ち会う
- 検査に合格したら営業開始(保健所から指示あり)
- 営業許可書を保健所まで取りにいく
1 保健所に事前相談に行く
飲食店の所在地を管轄している保健所に相談にいきます。都内ですと区に1つあり、その他の市などには複数の市を一つの保健所が管轄している場合があります。
事前相談は誰でもできます。予約も必要ないところがほとんどです。初めて手続きをする方は必ず事前相談に行くことをお勧めいたします。
また保健所の要件は保健所ごとに異なります。もっといえば担当者の裁量が強く担当者によっても結果が異なることもあります。そのため前回の検査は通ったからといって今回も同じ条件で通るとは限りません。特に都道府県が変わる場合は要件や手続きの方法が異なる部分も多いと思います。そのため新しい場所で飲食店をはじめる場合は事前相談にいくように心がけましょう。
2 営業許可申請書や図面を作成する
申請に必要な営業許可申請書や図面を作成します。申請書は書き方をまとめておりますので以下を参考にしてください。
次に図面を作成します。図面にはシンクや手洗い器の場所や数などを書きます。保健所によっては電球の数やワット数、寸法なども記入します。正確な図面が望ましいですがあまり細かいと大変なので難しい場合は行政書士に依頼しましょう。
3 保健所営業許可を申請する
申請書に必要書類を添えて申請します。この際に申請手数料を支払います。また保健所の検査日を決めることもありますのでスケ―ジュールも確認しておきましょう。
4 お店での施設検査に立ち会う
保健所の検査に立ち会います。この時までに施設基準をしっかりクリアしときましょう。
5 検査に合格したら営業開始(保健所から指示あり)
検査に合格したらその場で営業許可書の引換書をもらいます。そして都内の場合ですとだいたい次の日から営業開始してもいいといわれます。
後日、引換書を持参して営業許可書を取りに行きます。営業許可書発行までは検査から約1週間くらいかかります。
6 営業許可書を保健所まで取りにいく
保健所によっては郵送で対応してくれるところもあります。基本的には引換書と印鑑を持参して保健所まで取りにいきます。
それでは次に許可に必要な施設基準についてみてみましょう。